「個性」を伸ばす、という言い方は、そもそもおかしい。
でなくても、ひとつの個性を貫徹することは、本人にとっても、周囲の者にとっても、非常に厄介で、忍耐のいる、面倒くさい過程だ。結果も、必ずしもハッピーな方向に落着するとは限らない。単に軋轢を招いて、全員が疲れるだけだったりする。
個性主義というのは、それでもなお、個々人のバラつきに対して寛大である社会を維持しようとする一種の合意であって、決して個性を万能とする思想ではない。
というのも、「個性」は、そもそも生まれつき他人と違っている性質の由で、とすれば、教育課程が特に別格扱いにしてさしあげる筋合いのものではないからだ。